米国産牛肉に関する日米専門家会合が三月二十八―二十九日に東京で開かれ、輸入解禁へ向けた手順が確認された。具体的な解禁時期は未定とされたが、禁輸を長期化させないという点では日米の足並みが揃った。 米側は、牛肉の処理業者に対する研修強化など法令順守の徹底に取り組む。日本側は米国の牛海綿状脳症(BSE)対策に関する説明会を開いて消費者の懸念解消に努める。米国で新たな順守違反がなければ、五月頃に日米協議を開き、早ければ夏に輸入が再開される見通しだ。 米側は十一月に中間選挙を控えており、「早期解禁」を求める議会からの圧力は日増しに強まっている。日本政府は昨年末に解禁した際に巻き起こった「ブッシュ政権に配慮して国民の安全を米国に売り渡す」という批判を強く警戒しているが、日米関係が緊張すれば九月の自民党総裁選にも影響しかねない。 日本政府は「(解禁を)政治的日程にあわせることはない」(安倍官房長官)と強調するが、実は、再解禁までの筋道は密かにつけられている。それは六月に予定される小泉首相の訪米時に「水面下合意」、七月中旬のG8首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)で開かれる日米首脳会談で「表の合意」をするというもの。しかし、消費者が政治の都合にあわせて米国産牛肉を買うかは別問題だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。