アメリカとインドが三月二日、原子力の平和利用における協力に合意したことで、成長が見込まれるインドの原子力事業に一枚噛もうと米企業のロビー活動が激化している。 インドで事業を行なう米企業の団体である「米印ビジネス会議」は、ワシントンでも最も高額な料金を取ることで知られるロビー会社のひとつパットン・ボッグズと契約を結び、米政府が原子力開発の分野でインドと本格的な協力体制を作り、米企業が原発建設などを受注できるようロビー活動を開始した。 しかし、インドがアメリカの思惑通りに動くとは限らない。現に、インド政府は三月十七日、原子力発電用核燃料の供給を受けることでロシアと正式合意。ロシアはインド西部マハラシュトラ州のタラプール原発二基に約六十トンのウラン燃料を供給する。 アメリカの期待とは裏腹に、インドの核開発ではロシアが主な受注先となる可能性は高い。ロシアは千メガワット級の原子力発電所二基を既に供給しており、インド南部のタミルナド州クーダンクラムでもウラン燃料を供給している。核関連物質・技術の輸出を規制する原子力供給国グループ(NSG)に属するロシアは、核拡散防止条約(NPT)に加盟していないインドに核燃料を供与できないが、これらはNSGが機能する何年も前の一九八八年に結ばれたものだ。

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