アンドリュー・カードの後任として次期ブッシュ大統領首席補佐官に指名されたジョシュア・ボルテンについて、ワシントンの専門家の間ではその能力に早くも疑問符がつき始めた。 ホワイトハウスで安全保障関係のスタッフとして働いた経験を持ち、現在、ワシントンの弁護士事務所で働く関係者は、次のように語る。「ボルテンはカール・ローブ大統領次席補佐官が抜擢し育成した、自他ともに認めるローブ派だ。彼が首席補佐官に起用されたということは、ローブがホワイトハウスを完全に掌握したことを意味する。元々先代のブッシュ派でローブとは一定の距離を置いていたカードが辞任したことにより、ローブはホワイトハウスのすべてを牛耳る立場になった」 プリンストン大学卒業後、スタンフォード大学の法科大学院に進み、その後、米ゴールドマン・サックス証券のロンドン支店で働いていたボルテンは、二〇〇〇年の大統領選挙の時にブッシュの選挙対策本部に呼ばれた。当時ボルテンをイギリスからテキサスまで呼び寄せたのが他ならぬローブだった。 ボルテンは、選対で減税案を含め、各種経済政策を立案した。第一次ブッシュ政権では、通商代表部で働き、日本とも関係を結ぶなど、国際経済問題に力を注いだ。その後、経済顧問としてホワイトハウスに抜擢されたが、この時の推薦者もローブだったことはいうまでもない。

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