インドで鳥インフルエンザが蔓延しつつある。鳥インフルエンザ・ウイルスH5N1を扱う設備の整ったインド唯一の施設であるボパールの動物病疫研究所(ADL)には、全国から寄せられた鶏の血液サンプルや細胞組織があふれかえっている。 ADL所長のハレ・クリシュナ・ラダンによると、研究所の処理能力は一週間に最大で血液サンプル二千件と細胞組織および糞のサンプル百件だが、この一カ月は、毎週四千ものサンプルが全国から送られてくるという。八つの実験室のうち六つをH5N1ウイルス専門にしているが、それでもとても追いつかない。すでに二十五万羽の鶏が処分されたマハラシュトラ州ジャルガオンでさえ、サンプルを送って検査結果が出るまでに二週間以上待たざるを得なかった。人口密度の高いインドで本格的に蔓延すれば被害は甚大なものとなるだけに、科学者たちは焦りの色を隠せない。

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