いつも歯に衣着せぬ発言をするラムズフェルド米国防長官が、三月二十三日の記者会見では超慎重だった。 国防総省詰め記者から「イラン(対策)は米国の長期的な対テロ戦争の一環か」と質問されたが、長官は口が重く、「イランの問題は国務省と大統領に任せようと思う」と逃げた。 イラン核問題の主管官庁は形式的には国務省だ。そして、ライス国務長官は「イランはイラクと違う」などと繰り返し、「外交的解決」を強調している。クリントン前政権の国務次官補でブッシュ政権にも知己の多いアインホーン戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問も「対イラン先制攻撃はイスラム社会の反発を招く」と軍事作戦に反対だ。 だが、ブッシュ政権の内部は単純ではない。最近訪米した日本外務省幹部は、米専門家から「(十一月の)中間選挙も睨んで、約二十カ所の核施設に“外科手術的攻撃”を加える可能性がある」と聞かされ、「驚愕」した。 最高レベルの政治的な最終決断の時期は、「国連安保理での議論と絡む」(外務省幹部)。その日に備えて、ラムズフェルド長官は発言に注意しているのだ。 舞台裏では、米国・イスラエルとイランの双方が、Xデーに向けて、情報および軍事面で準備を着々と進めている。

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