欧州歴訪へ出発する安倍晋三首相(中央)と昭恵夫人(右)=4月29日午後、東京・羽田空港 (C)時事
欧州歴訪へ出発する安倍晋三首相(中央)と昭恵夫人(右)=4月29日午後、東京・羽田空港 (C)時事

 4月27日に投開票された衆院鹿児島2区補欠選挙と沖縄県沖縄市長選という2つの選挙で自民党などが公認・推薦する保守系候補が勝利したことによって、一部の自民党議員らが勢いづいているようにみえる。日本の安全保障問題の最前線とも言える沖縄や九州で勝利したことで、集団的自衛権の行使容認に弾みがつくと考えているのだ。

 自民党の石破茂幹事長は開票結果を受けて、「集団的自衛権の議論がクローズアップされる中で、鹿児島、沖縄で勝利できた意味は小さくない」と話した。しかし、こうした見方はまったく的を射ていない。

 なぜなら、当選した両候補は自民党の公認・推薦だけでなく公明党の推薦も得ているからだ。安倍晋三首相の念願である集団的自衛権の行使容認に対して、最大の障害になっているのは今や公明党の存在である。公明党抜きで両候補が当選したというなら、自民党も胸を張って集団的自衛権の議論を先に進めることができただろう。しかし、実際にはそうではなかったのだ。

 振り返ってみれば、今年1月、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先である沖縄県名護市の市長選では、公明党票の一部が移設反対派の支援に回ったと言われ、その結果、移設容認の自民党推薦候補が敗れ、反対派が勝利した。

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