いままた解体に向かう米メディアの大迷走

執筆者:岩田登2006年5月号

統合による相乗効果が得られないと分かるや、メディア・コングロマリットは解体に走った。右往左往の振り子はどこで落ち着くのか。「統合」から「解体」へ――米国のメディア・コングロマリットの経営戦略の“振り子”が、大きな揺り戻しを始めた。 大手企業は一九九〇年代に巨額の企業買収・合併を相次いで仕掛け、映画、テレビ、音楽からインターネットにおよぶ広範な事業を統合した。しかし、そのシナジー(相乗効果)は微々たるものにとどまり、コングロマリット化の試みは失敗に終わった。 各社はその反動を受けて経営戦略を見直したのだ。だが、解体がいい結果をもたらす保証もない。果たして「正しい」ビジネスモデルはあるのか。米メディア企業の模索は続いている。 480億ドル>270億ドル+190億ドル この不等式は、二〇〇五年末に二分割されたバイアコムの分割前後の株式時価総額の変化を示す。 旧バイアコムは高成長を期待できる事業を集めた会社「新バイアコム」と低成長事業会社の「CBS」に解体され、〇六年一月からともに上場企業として再出発した。新バイアコムが抱える事業は映画パラマウント・ピクチャーズ、CATVのMTVなど。新CBSが抱えるのは三大テレビネットワークのひとつCBSや、ラジオ、出版などだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。