新たに軍総政治局長に就任した黄炳瑞氏は、韓国統一部の資料では1940年生まれで、74歳前後とみられる。一部では1949年生まれという情報もあり、そうだとすれば65歳前後ということになる。決して若くはない。金正恩時代の新たな側近の誕生ではあるが、世代交代というにはあまりにもベテランの党官僚である。

 

「組織指導部副部長」で登場

 黄炳瑞氏が北朝鮮のメディアに初めて登場したのは2005年5月19日に金正日総書記が人民軍第593軍部隊と第529軍部隊軍人家族芸術小組の公演を観覧した際に同行者として報道された時である。この時の職責は党組織指導部副部長であった。

 ラヂオプレス調査では、金正日総書記の2005年の公式活動に、黄炳瑞副部長は31回同行した。2005年に同行回数が最も多かったのは朴在京(パク・ジェギョン)大将で43回であったが、黄炳瑞氏は第6位だった。2006年には同行回数は42回で朴在京大将ら3軍人と同数で1位だった。2005年5月に初めてメディアに登場した黄炳瑞氏が、金正日総書記の公式活動にこのように多く同行し、当時、金正日総書記の「新側近」浮上として話題になった。

 当時の党組織指導部の軍担当第1副部長は李容哲(リ・ヨンチョル)氏だったが、李容哲第1副部長が健康を悪化させ、黄炳瑞氏が同副部長としてこれを補佐していた。李容哲第1副部長は2010年4月26日に心臓まひで死亡した。

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