台湾の金融機関が相次いで海外からの出資を仰いでいる。中堅銀行の萬泰商業銀行は一月、米消費者金融会社GEコンシューマー・ファイナンスの資本受け入れを決定。大手金融持ち株会社の台新金融控股は三月、米投資会社ニューブリッジ・キャピタルと野村ホールディングスを株主に迎えた。外資の積極進出は中国の金融界の姿に重なるが、台所事情は正反対だ。 萬泰と台新は消費者向けローン用カードの発行枚数でそれぞれ台湾一、二位。台湾では二〇〇五年後半、各種カードで抱えた債務の延滞者の問題が表面化した。金融当局は個人向け融資の不良債権比率が高い一部銀行を対象に、カード新規発行の停止処分などの対策を開始。萬泰と台新には外資導入で資本を増強し、危機を未然に防ぐ意図があったようだ。 カード問題の直接の原因は〇二年ごろ、域内各行がこぞって個人向け融資に参入したことにある。延滞者は約五十万人に達するものの、対策の効果もあり、カード会社の経営破綻を招いた数年前の韓国ほどの重症にはならないとの見方が多い。 しかし深刻なのは、カード問題が法人向け融資の伸び悩みと表裏一体であることだ。〇二年前後は、台湾メーカーがパソコンなどの組み立て工場を一斉に中国に移転した時期と重なる。その際に金融機関も追随すれば、莫大な工場建設資金の融資という商機を得られたはずだ。しかし、台湾の金融機関は現在に至るまで、中国で融資業務を行なうことができない。金融機関の海外支店は母国と進出国の双方から監督を受けるのが慣例だが、「一つの中国」の原則で対立する中台の当局が監督制度で合意できていないためだ。

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