四月五日、フランスの防衛・電子機器大手タレスが、仏通信機器大手アルカテルの宇宙関連事業を担う合弁会社を買収することで合意。欧州の宇宙産業再編の幕が上がった。 タレスは英軍事システムの心臓部の大半を請け負うほか、人工衛星や航空機の電子制御やネットワーク関連機器も得意とする有力企業。その魅力に欧州航空防衛最大手EADSがラブコールを送ってきたが、タレスは一九九七年の民営化後、同社の少数株主となったアルカテルを相手に選んだ。 タレスは、アルカテルと伊宇宙・航空防衛産業フィンメカニカとの人工衛星関連の合弁会社、アルカテル・アレニア・スペースの株式の六七%と、テレスパッツィオの株式の三三%を取得。引き換えにアルカテルはタレスへの出資比率を二一・六%に引き上げる。タレスの売上高は二十億ユーロを超え、EADS宇宙部門に迫る。 しかし、話はこれで終わらない。シラク仏大統領は「宇宙分野で第二のエアバスを作ろう」と提唱。米ボーイングを抜き航空機世界最大手となったエアバスのように、宇宙産業でも米国勢に匹敵する巨大企業を誕生させる構想を描いていた。メルケル独首相とも合意し、想定していたのは仏独双方に本拠を置くEADSを中心とした再編だ。

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