生徒の思考力をはかるテストで世界一になったフィンランド。教師たちは「特別なことは何もしていない」と言うが、日本が見習うべき事は数多くある。教師の質を高めるために、フィンランドは何をしているのか。 世界の教育界がフィンランドに注目している。経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査であるPISAの二〇〇三年調査で世界一の成績をあげたことで、「学力世界一の国」として俄然注目を集めることになったのだ。 世界最大のシェアを誇る携帯電話ノキアの国、そしてマイクロソフトのウィンドウズと拮抗するOS(基本ソフト)Linuxの国としても知られるフィンランドは、人口わずか五百二十四万人ながら一人あたりの国民総所得は三万二千七百九十ドルを誇り、世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表する国際経済競争力調査では、二〇〇一年と〇三年から〇五年まで連続で首位に立っている。 そんな国の教育の「強み」は、どこに隠されているのか、二度にわたる現地取材で探ってきた。徹底した「修得主義」「私たちは特別なことは何もしていない」――フィンランドの教師たちは口々に言う。 義務教育は七歳からの九年間で、七歳から十四歳の年間総授業時間はOECD加盟国の中で最も短く、日本のように塾や予備校があるわけでもない。ほとんどが公立校で、教育費は大学まで無償。給食費の負担すらない。

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