「日韓」双方に配慮した歴訪だった (C)AFP=時事
「日韓」双方に配慮した歴訪だった (C)AFP=時事

 その政治・外交上の成果は横に置き、オバマ大統領の日本訪問は外交儀礼(プロトコル)の点から見ると不思議な訪問だった。国賓で日本が迎えようというのに、オバマ大統領はなるべくそう見せないように行動した。米国側にはどういう事情があったのだろう。

 オバマ大統領の国賓での訪日には、発表当初から両国の微妙な食い違いが目に付いた。日本側が「国賓での訪問」と発表したのに対し、米側は「国賓にするかどうかは日本側が決めること」とクールに反応した。

 滞在日数も韓国がソウルへの立ち寄りを強く求めたこともあって、米国は「1泊2日」に拘った。国賓は滞在中さまざまな行事が入るため最低2泊3日が必要だ。しかし米国の変わらぬ姿勢に、日本側は渋々ながら「1泊2日でも可能」と応じた。しかし水面下では変更を働き続け、ケネディ駐日大使のオバマ大統領への直訴で「2泊3日」に落ち着いた。この経緯を見ても大統領は国賓となることに積極的ではなかった。

 

異例だった胡錦濤の訪米

 大統領は4月23日夜に来日し、25日に離日したが、滞在中も国賓らしからぬ行動が目に付いた。まず国賓の宿舎である元赤坂の迎賓館に宿泊せず、ホテルオークラを宿舎にした。同ホテルは米大使館前にあって便利なことは間違いない。しかし国賓が迎賓館に泊まらないのはこれまであまり例がない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。