小泉純一郎首相は四月六日、首相在職千八百七日目を迎え、戦後歴代三位の長期政権を誇った中曽根康弘元首相の在職記録を抜いた。「ポスト小泉」を選ぶ九月の自民党総裁選まで無事務めれば五年五カ月。佐藤栄作の七年八カ月、吉田茂の七年二カ月に次ぐ長期政権ホルダーとして、小泉純一郎の名が日本政治史に刻まれる。「一人の平凡な人間がね、ここまでやってこれたのは、国民の多くの皆さんのご支援、ご協力と、あと運が良かったということでしょうね。いつも何かに守られている、国民が支持してくれている、運がいいと思いながら、精いっぱい頑張らなきゃいけないと思っています」。四日夜、前もって記者団から感想を求められた首相は「国民の支持」と「運」に謝意を表した。 確かに、自民党内で長い間、一匹狼的な存在だった小泉純一郎という政治家が党総裁・首相になり、今日まで君臨できたのは、ひとえに国民的な人気の高さに因る。個人票だけで勝つのは難しい小選挙区制が一九九六年の総選挙から導入され、「人気のある総裁でなければ選挙に勝てない」という認識が党の隅々まで浸透したことが、二〇〇一年四月の小泉首相誕生の背景だった。 今なお五〇%前後の内閣支持率を維持する原動力が、小泉流の改革政策や捨て身の政治姿勢、さらには「ワンフレーズ」「サプライズ」に象徴される「テレポリティクス時代の政治技術」の類稀なる巧みさにあったことは論を俟たない。それに加えて見逃せないのは敵失、野党第一党・民主党の不甲斐なさだ。

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