大苦境を装う消費者金融の「灰色の未来図」

執筆者:鷲尾香一2006年6月号

グレーゾーン金利の廃止を正しく金融の健全化にむすびつけるためには、何が必要とされているのか。「貸付金利の上限が二〇%になれば、生き残ることができるのは大手十社程度ではないか」 大手消費者金融の役員はそう語った。過剰な融資や高金利、苛酷な取り立てを批判されながらしぶとく生き残ってきたこの業界に今、「グレーゾーン金利の撤廃」という、これまでにない大波が襲いかかっている。「グレーゾーン」とは、出資法(消費者金融の貸付金利を規制)が定めている上限金利「二九・二%」と、利息制限法(銀行など金融機関の貸付を規制)の上限金利「二〇%」の間を指す。後述するように、消費者金融の商売を支えてきたのが、このグレーゾーン金利だった。 二〇〇五年三月末、金融庁は「貸金業制度等に関する懇談会」で見直しの議論を開始した。〇四年一月に施行された改正貸金業規制法の付則「施行後三年を目途に必要な見直しを行なう」を受けての“地ならし”である。 当初、この懇談会ではグレーゾーン金利の「存続」と「撤廃」の両方が議論され、「撤廃」後の上限金利を出資法の上限金利に“引き上げる”案すら検討された。先の大手役員は「引き下げられても出資法と利息制限法の中間の二五%程度で落ち着くと見ていた。業界内の会合でも、その程度なら経営への影響は少ないとの意見が多かった」と打ち明ける。

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