阪神電気鉄道と村上ファンドとの駆け引きが注目されているが、首都圏でも鉄道会社に対するファンドの関心が高まっている。東の“私鉄の雄”である東京急行電鉄が、今やそのターゲットとなりつつある。 今年二月、米投資会社であるキャピタル・グループ四社が東急の計七%近くの株式を所有、第一生命に次ぐ第二位株主に躍り出た。キャピタル社は「長期保有を目的とした純投資」としているが、東急百貨店やセルリアンタワーなど渋谷を中心に一等地の多額の含み益のある不動産に目をつけ「株主として資産価値の向上に向けた施策を提案してくる」との見方が多い。 鉄道株については、村上ファンドの一件のほかに、米サーベラスによる西武グループ、プリヴェ・チューリッヒによる阪急ホールディングスの株式大量取得がある。「鉄道会社は不動産やホテル、百貨店など、外資ファンドが得意とする再生物件・銘柄を多く抱えており、大株主として揺さぶりをかければ、リターンは簡単に望める」と、その妙味を指摘する声は多い。鉄道各社とも財務リストラはほぼ完了しており、売上げが少しでも伸びれば大きな利益が出る状況であることも、鉄道各社に熱い視線が集まる一因だ。対応を誤れば、東急は第二の阪神になりかねない。

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