緊密化する「中ロ関係」と「アジア地政学」の変化
2014年5月28日
アメリカが超大国として世界をリードしていくのは並大抵のことではない。このひと月の世界の動きを見ただけでもそう思う。そうした情勢を「地政学の復活だ」と米政治学者ウォルター・ラッセル・ミードは言い、米外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』最新号にそのタイトルで論文を寄せた。「地政学」、言い換えれば力まかせの陣取り合戦だ。【The Return of Geopolitics,Foreign Affairs, May/June】
ロシアが東部に介入するウクライナの騒動は収まらない。オバマ米大統領がアジア歴訪でピボット(pivot)=アジア重視策にテコ入れしたと思ったら、それに反発するかのように中国は領有権を争う西沙諸島(英語名パラセル)で石油掘削を強行し、ベトナムと激しい衝突を起こしている。中ロともアメリカの抗議など意に介さない。それどころかロシアは中国に対する向こう30年間の天然ガス供給で合意、中ロは結束を固めて、さらにイランなどを誘い込んだアジア相互協力信頼醸成会議(CICA、上海で開催)で、アメリカ抜きの安全保障秩序を目指す方針を打ち出した――。
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