いまこそ問われる任天堂「岩田聡」の真価

執筆者:杜耕次2006年6月号

大ヒットした「ニンテンドーDS」は先代の“置き土産”。ゲームビジネスの“目利き”と評される経営者の真価が問われるのはこれからだ。 昨日の敗者は今日の勝者。逆もまた真なり――。生き馬の目を抜く家庭用ゲーム市場では現在、任天堂の快進撃が続いている。同社は二〇〇一年に売り出した現行の据え置き型機「ゲームキューブ」でソニーの「プレイステーション2(PS2)」に惨敗。シェアで四倍以上(一六%対六九%)の差をつけられた。巻き返しの切り札として、〇四年末に二つの液晶画面を持つ携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」を投入したのだが、これが業界関係者の予想を覆す大ヒット商品になっているのだ。 商品名を聞いてもピンと来ない人でも、女優の松嶋菜々子が「脳年齢五十二歳」といわれて悔しがるテレビCMは記憶にあるはず。 その売れ行きはすさまじい。今年四月時点でDSの国内販売台数は七百万台を超えた。発売から十六カ月での七百万台突破はゲーム機としては史上最速のペース。昨年夏頃から、店頭に並ぶとすぐに売り切れになる状態が続いている。 株価も急上昇。〇四年には一万円を割り込んだこともあったが、DSが売れ始めた〇五年夏場以降には一万二千―一万三千円台に回復し、さらに今年に入って店頭でのDSの品薄感に拍車が掛かると上げ潮ムードが強まり、四月からは一万七千―一万八千円台で推移している。

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