ニューヨーク大停電では摩天楼も暗闇に包まれた (C)AFP=時事
ニューヨーク大停電では摩天楼も暗闇に包まれた (C)AFP=時事

 2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、最も停電リスクの高い夏がやって来る。

 過去3年間、原子力発電の停止によって電力需給は厳しいという声にもかかわらず、日本列島は電力危機を回避してきた。だが、それが原発反対派の言うような「原発抜きでも大丈夫」という話でないことは、火力発電所の現場に足を踏み込めば簡単にわかることだ。家庭や企業の節電努力と老朽火力の踏ん張りで耐えてきた3年だったのだ。

 だが、「今年は限界に来る発電所が必ず出る」(電力業界関係者)。とりわけ電力需給が厳しい西日本で、盛夏の需給逼迫時に発電所がひとつ停止すれば、大阪以西を飲み込む広域停電が起きるリスクが高まっているのである。

 

肝を冷やした電力経営陣

 3月28日、玄界灘にも近い長崎県北松浦半島に立地する電源開発(Jパワー)の松浦火力発電所2号機のタービンなどを収納する建屋に大音響が響いたのは、夕方近い時間だった。定期点検で低圧タービンを分解し、中にあった動翼全体をクレーンで持ち上げ、近くの床に移動させる作業中に、高さ12メートルから落下したのだ。無風の建屋内で、据え付けのクレーンで行う作業で釣り上げた物を落下させるという「小学生でもやらないような単純ミス」だっただけに業界関係者は開いた口はふさがらなかった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。