オランド大統領の苦衷が窺える           (C)EPA=時事
オランド大統領の苦衷が窺える           (C)EPA=時事

 反目する2人の仲を取り持つため、間に立った人が3人での食事会を呼びかける。しかし2人は「あなたとはいいが、奴とは嫌だ」と言う。都合がつくのは一夜しかない。間に立った人はどうするか。食事会を見送るか、2人と時差をつけて別々に食事するか――。

 フランスのオランド大統領が選んだのは後者、すなわち一夜に2回食事をすることだった。反目する2人はオバマ米大統領とプーチン露大統領である。

 

最初にオバマ大統領

 ノルマンディー上陸作戦(1944年6月6日)の70周年記念式典を翌日に控えた6月5日午後7時すぎ、パリの凱旋門近くにある1つ星レストラン「シベルタ」に黒塗りの車が横付けされた。防弾の特殊装備の大型車から降り立ったのはオバマ大統領。出迎えのオランド大統領と握手をし、物見高い人垣に手を振りながら店内に入った。

 オランド大統領は米露両首脳がパリ入りする5日夜、エリゼ宮で3首脳の夕食会を打診していた。ロシアがウクライナのクリミアを自国領に編入して以降、米欧とロシアの関係は悪化。このままにしておくのは フランスにとっても得策でない。

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