欧州右翼に大人気           (C)AFP=時事
欧州右翼に大人気           (C)AFP=時事

 5月に投開票があった欧州議会選で、欧州統合懐疑派が大きく躍進したのは、すでに伝えられている通りである。フランスや英国では、左右の主要政党を抑えて第1党となった。欧州統合に反対する声ばかりでなく、既成政党への不満やグローバル化への恐れの意識も吸収し、支持を広げたと見られている。

 多くの国で、懐疑派の中心となっているのは右翼政党だ。その右翼の動きが、何やら怪しい。ウクライナ危機に介入し、クリミア半島を併合したことで世界からの孤立を深めるロシアのプーチン政権と、連携を強めているのである。

 両者の接近は、それぞれの思惑が一致した結果のようだ。プーチン政権の強権体制を理想的な「統治モデル」と考える欧州右翼は、その手法に学びたいと考えている。ロシアは、右翼と連携することで欧州内部に親ロ勢力を形成しようと狙っている。

 この現象に、欧州の主要政党はまだ「しょせん、嫌われ者同士の慰め合いだ」と静観しているようだ。ただ、欧州右翼とプーチン政権にはもともと、国家のあり方や市民の権利に関する考え方について、似通った部分がある。このつながりが将来、反グローバル化、伝統重視、権威主義といったキーワードの下で、ユーラシア規模のイデオロギー的なネットワークに発展しないだろうか。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。