先週末6月13日と昨日15日に、イラク情勢に関する池内恵さんの記事「『イラクとシャームのイスラーム国家(ISIS)』はイラク国家を崩壊させるか」と「イラク内戦に介入するイランが米国に囁く『協力』」を、「中東の部屋」に緊急アップロードしました。イラク北部モースルを掌握したISISの勢いは止まらず、首都バグダードに迫ろうという勢い。米国がかろうじて確保した「イラクでの成果」は台無しになり、中東の国境再編という「パンドラの箱」が開きかねない重大な事態と言えます。そしてイランは米国に協力を持ちかけ、イラクに勢力圏を築こうとしています。

 この問題をより深く理解するために、池内さんにこれまでご執筆頂いたバックナンバーを、いくつかご紹介します。

中東―危機の震源を読む(12)イラクのどこに希望を見いだすのか『新国家』成立を左右する『キルクーク問題』の行方」(2005年12月):イラクの新憲法案が2005年10月に国民投票で承認され政治制度が定まりましたが、スンニ派は連邦制の導入によってシーア派が事実上の独立国家を作ることに強い不安を持ち、最大の受益者であったクルド勢力にしてもキルクーク問題では不満を残しており、安定への脅威となる多くの火種がこの時点ですでに存在していました。

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