劇的な政権交代から1カ月が経過したインドで、モディ首相率いるインド人民党(BJP)政権施政方針が徐々に明らかになってきた。首相就任式直後、5月29日の閣議でモディ首相は、居並ぶ大臣らに対し10項目の行動計画を示した。これは政府文書として正式に公表されたものではなく、国民向けのメッセージというよりは「大臣や官僚たちがどうやって仕事をすればいいのか」というガイドラインといえる。各メディアによって中身や順番に多少のばらつきがあるが、ここではもっとも文章が練れている有力英字紙『ニュー・インディアン・エクスプレス』の報道を参考にしてみたい。

 政権交代のたびに、新政府がこうしたスローガンを打ち出すこと自体は珍しくないが、この10項目は、政策担当者がまず何をするべきかという問いに、かなり明確に答えているといえるだろう。

官僚機構に対する信頼を回復する

――これはもちろん、前国民会議派政権で官僚の汚職や怠慢が相次いだことを踏まえている。まずは行政官の規律を正す、ということだろう。

 

革新的なアイデアを歓迎し、官僚らに自由裁量を与える

――①で官僚をきっちり締め付ける一方、「指示待ち」や「前例踏襲」に陥りがちな公務員に対し、自ら積極的に政策立案に取り組むよう求めている。その一方で、自由裁量を拡大し、支障なく仕事をしてもらおうというものだ。

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