イラク北部3県でクルド人勢力の自治を行っているクルディスターン地域政府のマスウード・バルザーニー大統領が、6月23日、ついに「独立」の一言を口にした。

米CNNのクリスチャン・アマンプールによるインタビューに答えての発言で、観測気球の側面もあるだろうが、世界に向けて大々的に発言したことの意味は大きい。

「イラクは明らかに崩壊しようとしている」

「連邦政府・中央政府は何もかもコントロールを失っている。軍も治安部隊も警察もすべて崩壊している」

「我々がイラクを崩壊させたのではない。他の者たちが崩壊させたのだ」

「クルディスターンの人々が未来を決める時が来た」

等々、発言は明確である。

バルザーニーはイラク憲法の規定に従ってクルド地域で国民投票を行い、独立の意志を諮るつもりであるとまで明言した。

独立の危険な賭け

独立はクルド人の悲願である。第一次世界大戦後のオスマン帝国の崩壊で、中東の主要な民族で独立国家を与えられなかったのがクルド人だった。トルコ人、イラン人はそれまでの帝国の版図を失いながらも国を維持し、アラブ人は新たに細切れの国を与えられた。アルメニア人も国を得た。遅れて第二次世界大戦後にはユダヤ人もイスラエルを建国した。

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