辣腕で知られるGEのイメルト会長 (C)AFP=時事
辣腕で知られるGEのイメルト会長 (C)AFP=時事

 世界を股に掛ける重電メーカーの巨人が覇権を目指して激突したM&A(合併・買収)合戦が、ひとまず決着した。世界首位の米ゼネラル・エレクトリック(GE、2013年度売上高約14.8兆円)が9位の仏アルストム(約2.7兆円)の買収に動き、2位の独シーメンス(約10.4兆円)がそれを阻止するために7位の三菱重工業(約3.3兆円)と組んで対抗プランを打ち出すという構図だったが、「雇用流出への懸念」を理由に反対の意向を示していた仏政府を懐柔したGEが結局競り勝った。世界で急伸する電力需要を背景にした重電市場での「ガリバー誕生」にライバルメーカーは警戒を強めるが、中でも日本の重電3社(東芝、三菱重工、日立製作所)が受けた衝撃は大きい。

 

原子力発電という“重荷”

 アルストムを丸ごと呑み込むというGEの野望は一部後退を余儀なくされ、「送配電」や「水力発電」などは今後設立する合弁会社への折半出資に抑え込まれたが、最も有望視していた「ガスタービン」部門の買収は叶うことになった。発電所に設置されるような大型ガスタービンのメーカーはGE、シーメンス、アルストム、三菱重工の4社が世界市場をほぼ押さえている。アルストムは欧州やアフリカ、中近東を中心に発電設備の納入実績があり、GEはこうしたアルストムの既存設備のメンテナンス(維持・補修)サービスで、140億ドル(約1.4兆円)相当の収益貢献が見込めると試算していた。

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