「農協改革」で農林中金をどう生かすか
2014年7月7日
昨年3月、安倍晋三首相はTPP(環太平洋経済連携協定)加盟に向けて交渉入りを決断した。全国農業協同組合中央会(JA全中)がTPP加盟反対の運動を大々的に展開している以上、夏の参議院選挙前には首相の決断は難しいとの見通しもあった。ところが首相は決断時に「全中はTPP反対を唱える共産党や社民党と組むつもりだろうか」と周辺に述べた。勿論、全中の指導者に聞こえていくことを想定しての発言と判断すべきだろう。
効果はてきめんだった。農産物の集荷や販売を担当する全国農業協同組合連合会(全農)の幹部連は、食品加工業の企業経営者に対してはもちろん、秀でた経営資源を保有し、かつ従来から日本での農業生産に関心を寄せていた大企業に対しても、TPP加盟後の農業振興に対する協同アプローチを一斉に働きかけたのだ。JA全中は抵抗を続けているようだが、農協改革実施の必然性についての勝負は、2013年3月で実質上決着していたとみるべきだ。
土光さんと「明るい農村」
6月24日に政府は菅義偉官房長官のもと、「農林水産業・地域の活力創造本部」を開催し、農協法に基づいてJA全中が保有する地域段階の単位農協への指導権や監査権をなくすという方向性を確認し、来年の通常国会において農協法の全面改正に踏み出す意向を明らかにした。ついに日本の農業を巡る制度の基本が改革の対象となったのだ。
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