共和党が警戒する「ペロシ下院議長」誕生の可能性

執筆者:アレクシス・シメンディンガー2006年7月号

[ワシントン発]「ペロシ下院議長」――近頃、「警鐘」として共和党議員が使うフレーズだ。今年十一月の中間選挙で民主党が十二年ぶりに下院を制すれば、ナンシー・ペロシ民主党院内総務(カリフォルニア州選出)が米国政治史上初の女性下院議長となる。これは、共和党のブッシュ大統領、チェイニー副大統領(上院議長)に同時に何かあった場合、継承順位二位のペロシが大統領のポストに就く可能性すら意味する。「民主党勝利」と同義の「ペロシ下院議長誕生」は、共和党にとって闘志を燃やすための合い言葉でもあるのだ。「実に、怖ろしい」。そう語るのは、チェイニー副大統領の元顧問で、現在は共和党全国委員会顧問を務めるメアリー・マタリンだ。「脅威は“ペロシ下院議長”のみにとどまらない。下院の重要な委員会の委員長就任が予想される議員の顔ぶれを見るかぎり、民主党が勝てば重要ポストは筋金入りのリベラル派に独占されかねない状況なのです」。 仮に、民主党が下院で過半数を得ると、民主党きってのリベラルであるペロシがブッシュ大統領の指導力をじかに問う権限を手にすることになる。下院委員会の調査権を発動してブッシュ政権に捜査のメスを入れることも、必要とあらば下院議長としてブッシュ政権と共和党が提出する法案を足止めすることもできる。

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