インドのGDPの産業別構成は第一次産業が三割、第二次産業が二割、第三次産業が五割。一方、中国では第二次産業がGDPに占める割合は四割前後だから、インドは「サービスの国」であるように思える。 実際、シチズン時計やソニー、松下電器などのようにインドでの現地生産の中止・休止に踏み切った「ものづくり企業」は少なくない。だが、実のところインドはさまざまな意味において「ものづくりの国」だ。 多くの日本企業を対象にインド事業に関するコンサルティングを行なっているインド・ビジネス・センターの島田卓社長は言う。「インドはサリーやゴム草履から、携帯電話に自動車、人工衛星や最先端の兵器に至るまで自分たちでつくっている国。ものづくりの質は千差万別ですが、上澄みの方の能力は非常に高いし、訓練すればモノになる若者が大勢いて、全体的な底上げも進んでいる」。 確かに、インド企業の品質管理面での向上意欲は強い。日本発のTQC(総合的品質管理)、米国発のシックスシグマなど、品質管理の手法や基準を採用する企業が増えている。日本企業のOBを指導者として招聘したり、日本からの講師を複数の中小企業が合同で招いたりするケースも出てきた。

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