CPLPという国家連合がある。日本では余り馴染みがないがポルトガル語圏共同体のことだ。ポルトガル語を話す国の連合で、かつてのポルトガル植民地が名を連ねる。その首脳会合がこの7月末東ティモールで開かれる。

 東ティモールと言ってもこれまた日本人には馴染みがない。どこにあるか正しく言える人も少ない。インドネシアの島々が連なる東の果て、スンダ列島東端の小さな島だ。その東半分が東ティモールで、2002年に独立したばかりのアジアで最も若い国だ。恐らく、東ティモールが独立に際し大きな騒乱に巻き込まれ、国土が灰燼に帰したことを知っておられる方は少なからずいよう。東ティモールと言えば紛争という暗いイメージで語られることも多い。

 

中国への入り口にも

 その東ティモールが今回のCPLPサミットの主催国となった。この人口100万の小さな国にブラジル、ポルトガル、アンゴラなど多くの大統領、首相が集まる。

 しかし集まるのはCPLPメンバー国だけではない。多くの国がオブザーバーとしてあるいは加盟候補国として関心を示す。日本も、先般安倍総理がポルトガルを訪問した時オブザーバー参加を申し入れた。

 多くの国がCPLPに関心を示すのは、CPLPが天然資源に富み、広大な市場を有する国を傘下に抱えているからだ。例えば、アンゴラ、モザンビークは石油、マンガンなどの産出が豊富だし、ブラジルは言わずと知れた資源国且つ豊かな市場を誇る国だ。これにマカオが加盟候補地域として控える。マカオの存在は重要である。ここを通しCPLPは中国本土とつながる。つまりCPLPは天然資源、市場、そして広大な中国本土というポテンシャルの高い地域を抱えているのである。

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