在中国の新しい米国大使館の「目と鼻の先に」北朝鮮直営の朝鮮レストランがオープンすると、中国国家安全省・公安省の複数の幹部が明かした。米国は二〇〇四年二月から二億七千五百万ドルを投じ、〇八年初めの完成を目指して北京市内北東部の女人街に大規模な新大使館を建設中。工事現場には「誰かが細工できるような余地はありえないが、万が一の不測の事態に備え、北京市国家安全局は二十四時間態勢でビデオを回し監視している」という。女人街にはすでにイスラエル大使館が移転、日本、韓国の新大使館も建設中で、北京の新たな“外交街”となる。 朝鮮労働党が直営するレストランは、すでに遼寧省の瀋陽、大連や天津市にあり、北からの訪問幹部や中国側幹部を接待する「重要な外交接待施設」となっている。中国側の観察では、どのレストランにも「訓練を受けた情報のプロと、磨きをかけた美人サービス員を配置している」が、北京・女人街の新レストランは「図抜けて規模が大きく、人員も最多になりそう。労働党の対外情報工作部門の高官が陣取るとの噂もある」という。 中国が神経質になるのは、最近の脱北者に「党幹部や公安・軍出身者が目立ち始めた」からだ。一時は、「そこまで困窮が深刻になっているのか」と見た中国だが、最近、「北は意図的に送り出している」との結論に達したという。「北は中国の腐敗官僚を籠絡し、中国の機密情報や、中国がもつ米国や日本関連の重要情報を獲得しようと画策している」と身構えている。北京を舞台に、米、中、北朝鮮の情報戦は熾烈さを増している。

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