ウクライナ東部ドネツク州東部で起きたマレーシア航空MH17便撃墜事件。米国やウクライナは「証拠」を挙げて、プーチン・ロシア政権の撃墜事件への関与を強調した。

 米国はいかにしてどのようなインテリジェンスを得たのか。それは信頼できる情報だろうか。

 

 SA11「ブク」発射でロシア技術者支援も

   オバマ米大統領は18日の演説で、MH17便を撃墜した「地対空ミサイルはウクライナ国内の親ロ派勢力が支配する地域から発射された」証拠があると指摘した。

 緊急に開かれた国連安全保障理事会では、サマンサ・パワー大使がもっと詳しく、その地対空ミサイルは「親ロ派勢力支配地区から作動したSA11の可能性が大きい」と言明した。大使によると、MH17便は高度約1万メートルを飛行中に撃墜されたが、当時親ロ派勢力支配地区に配備されていた地対空ミサイル(SAM)のうち、その高度に到達できるのはSA11のほか、SA20、SA22だけで、射程が短いSAMは到達しないと述べた。

 SA11とは、もともと旧ソ連時代に開発された、自走能力がある地対空中距離ミサイルシステムのこと。SA11は北大西洋条約機構(NATO)が付けたコード名で、ロシアではシステム全体が「9K37BUK(ブク)」と呼ばれている。ただ厄介なのは、ロシアもウクライナも同種のSA11を保有していること。ロシア国防省スポークスマンは、ウクライナ軍の「ブクM1」が撃墜地点の近くに配備されていた、と主張している。

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