Take it to the farmer――ウガンダ農村事情

執筆者:平野克己2014年7月24日

 ウガンダに行ってきた。

 2009年に95歳で亡くなったノーマン・ボーローグ博士について以前この欄で書いたことがある(「アフリカに緑の革命を――ボーローグ博士への追悼」2010年11月12日)。そのボーローグ博士の生誕百年記念行事が、ウガンダの首都カンパラにあるマケレレ大学と白ナイル川源流の町ジンジャの2カ所で開かれ、それを見にいってきたのだ。ボーローグ生誕百年祭は、「緑の革命」の祖地であるインドをはじめ世界のあちこちで行われていて、博士最晩年の活動現場であるアフリカでは笹川アフリカ協会(SAA)が主催した。笹川陽平日本財団会長もこられていた。

 マケレレ大学での第1シンポジウムとジンジャでの第2シンポジウムの共通タイトルは「Take it to the farmer」。ボーローグ博士最期の言葉である。病床にあっても博士は最後の最後まで農民のことを思い続けた。大学でのシンポは主に研究者によるもの、ジンジャのほうはこの町で毎年開催される農業祭に併せた企画で、高校対抗のディベート大会や農民代表のスピーチなどがあっておもしろかった。

 1日早くウガンダ入りして、SAA現地スタッフの案内で農村を見て回った。農村を見るのは2011年に内戦前のマリ農村に入って以来だ。SAAが指導しているトウモロコシや大豆の改良品種の畑に行き、日本政府が推奨しているネリカ米の畑も見ることができた。相変わらず農民たちはとても熱心で、SAAに対する感謝を歌や踊りで表現してくれる。アフリカ農村を見るには4駆に乗ってデコボコ道を何時間も揺られなければならないが、順調な収穫と人々の笑顔にはとても癒される。

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