巨艦・三菱重工「三代の鈍重経営」

執筆者:杜耕次2006年8月号

重厚長大産業の代表格は、ようやく“談合の連鎖”を断つメドをつけた。しかし、まだ原発事業の戦略再構築という難題が残されている。 三菱重工業社長の佃和夫(六二)は株主総会で頭を垂れ続けている。初めて議長を務めた二〇〇四年の総会ではリコール隠し事件で経営危機に陥った三菱自動車に対する金融支援の説明に追われ、昨年は鋼鉄製橋梁工事をめぐる入札談合事件で幹部社員が逮捕されたことをひたすら陳謝。そして今年六月二十八日の総会でも、佃は談合スキャンダルの釈明と謝罪に多くの時間を要した。 今年三月に公正取引委員会が立ち入り検査を実施した「水門工事談合」と「トンネル設備工事談合」、さらに四月に大阪地検特捜部と公取委が強制捜査に着手した「屎尿・汚泥処理施設工事談合」事件――。そのいずれのケースでも三菱重工は検査・捜査の対象となった。屎尿・汚泥談合では、昨年の橋梁事件に続いて幹部社員が起訴されている。「誠に申し訳なく、深くお詫びします。再発防止に全社を挙げて取り組み、第一線の責任者には事業を止めても構わないとまで伝えている。ご理解いただきたい」 それまで談合問題についての回答を続けていた常務に代わって佃は株主にこう訴えた。

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