“反米の牙城”で親米を貫くコロンビア大統領の再選

執筆者:サリル・トリパシー2006年8月号

[ボゴタ発]左派政権の誕生が相次ぐ中南米で、親米姿勢を貫くコロンビアのアルバロ・ウリベ大統領が五月末、再選を果たした。二〇〇二年にウリベが政権を握った時、三十年以上続く左翼ゲリラと右翼民兵の抗争で社会は荒れ、GDP(国内総生産)は八年間で一一%下落、海外からの投資も減り、富裕層は国外脱出するか資産を海外に移すなど、コロンビアは疲弊しきっていた。だが、四年間でこの国は大きく変わった。 ウリベはブッシュ米大統領が主導する「対テロ戦争」に歩調を合わせ、コロンビア国内の左翼ゲリラに対しても強硬姿勢で臨んだ。内政的には、一九五〇年代から続く自由党と保守党の二大政党制の枠を壊し、独自の政党「U党」を創設。元々はリベラル陣営の出身ながら、治安については保守的な政策を取り入れて国政の主導権を握った。 憲法を改正して自らの再選を可能にした今回の大統領選挙では、一回目の投票で六二・三%を得票し、圧勝した。ベネズエラのウーゴ・チャベス、ブラジルのルラ・ダシルバ、アルゼンチンのネストル・キルチネル、チリのミチェル・バチェレ、ボリビアのエボ・モラレスと、左派大統領の誕生が続く中南米で、ウリベの再選は異彩を放った。

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