安倍晋三首相は一昨年末に2度目の就任を果たして以降、きわめて順調に政権を運営してきた。得意の外交では、異常とも感じられるほどの頻度で外遊を繰り返し、着々と実績を積み上げている。内政でも、経済政策「アベノミクス」は一定の成果をあげてきたし、最大の山場になるとみられた消費税増税を無難に乗り切った。これほどうまくいっている内閣は近年珍しい。

 だが、破竹の勢いだった安倍政権にも、時間の経過とともに暗雲が垂れ込めてきた。とりわけ集団的自衛権行使容認をめぐる世論戦で劣勢に追い込まれつつあることと、7月13日に投開票された滋賀県知事選での敗北は、悪い予兆である。

 

集団的自衛権は「これからが勝負」

 安倍内閣は7月1日、集団的自衛権の行使容認を、ついに閣議決定した。だが、集団的自衛権をめぐる賛成派と反対派の戦いに決着がついたわけではない。実際に行使するためには、閣議決定だけでは不十分で、具体的に自衛隊などを動かすための関連法を国会で成立させなければならない。民主党の海江田万里代表が「これからが勝負だ」と述べたように、閣議決定が無事に済んだというだけでは道半ば。これからどうなるか分からない。

 海江田氏はこんなふうにも指摘した。

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