台湾の周美青・総統夫人が7月31日に来日した。先日世間を騒がせた「國立」名称問題のトラブルで、台湾側の不満表明として開幕式典での訪日が取り消されていたが、今回は台湾の児童合唱団の名誉団長として来日し、8月4日には東京国立博物館で開催されている台北故宮日本展の展示品入れ替えイベントに出席するという。「國立」問題で周囲が驚くほどの「憤怒」を示したとされる馬英九総統だが、ポスターへの「國立」の文字追加などで日本側の「誠意ある対応」が見られたということで怒りも収まったようだ。

 私の聞く限り、台湾の政権内でも、この「國立」問題について日本側に抗議するのは当然としても、周夫人の訪日まで取り消してしまうのは、いささか行き過ぎた反応ではなかったかという意見がかなり出ていた。当時は台湾側もかなり興奮していて、開催時刻が近づくなか、日本側に期限を区切って厳しい要求をしていたこともあり、その流れのなかでは周夫人をスムーズに日本へ送り出しにくい雰囲気だったこともある。ただ、基本的に良好である日台関係のことを考慮し、その後、再度の訪日のチャンスを探していたようで、合唱団の訪日と展示品入れ替えというタイミングをうまく見つけたようだ。

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