ロシア政府は北方領土を中心とする千島列島開発のため、二〇一五年までに総額百七十九億ルーブル(約七百二十億円)を投資することを盛り込んだ「クリール諸島社会経済発展計画」を閣議決定したが、この計画の中に、日本の北方領土周辺で石油・天然ガスの資源探査を行なう構想が含まれていることが分かった。 ロシア政府筋によれば、二〇〇三年に千島中部の大陸棚で実施した探査の結果、有望な石油・ガス田を確認できた。千島南部にも石油・ガス鉱脈があるとされ、探査を実施する方針だという。 ロシア天然資源省の専門家によれば、北方領土海域には数カ所に油田・ガス田が存在する可能性があり、埋蔵量は石油換算で三億六千万トンとの試算もある。これは、日本の消費量のほぼ一年分に匹敵する。 八月初めには千島列島最大の択捉島で三十人のチームによる金鉱探査が始まったが、択捉にはチタンなどの希少金属が豊富にあり、別名「宝島」とも。日本も戦前に着手しながら中途半端に終わった国後・択捉の資源開発を、ロシアは本格的に実施する構えだ。「資源・エネルギーはロシア国民のために使う」(プーチン大統領)として資源の国策利用を公言するプーチン政権が国後・択捉に目を付けた以上、北方領土返還は夢のまた夢か。

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