膠着する日中関係打開に向け、水面下の折衝が加速しているようだ。 中国外務省関係者によれば、七月中旬に胡錦濤総書記の特使が来日し、小泉首相の後継最有力候補である安倍官房長官のほか、中川自民党政調会長や額賀防衛庁長官らと面会した。離日する直前には、王毅駐日大使らに「来年の日中首脳の相互訪問に向けて準備せよ」と指示し、日本側との話し合いの成果に「手ごたえ十分」と言い残したという。 関係者によると「公式な外交ルートを外し、中国共産党と自民党の党ルートを通じて交渉・接触したため、中国外務省の担当部署は結果報告しか受けていない」。 特使を務めたのは「地位はそれほど高くない局長クラスとされるが、胡錦濤弁公室秘書の肩書きももつ党中央の有力中堅幹部」だという。 小泉首相は在任中に三回、中国の土を踏んだが、いずれも非公式訪問で、次回は日本側が訪中する順番となっている。 胡は、日中国交正常化三十五周年にあたる二〇〇七年前半にも後継首相が訪中すれば、同年後半にはすかさず自らが訪日する考え。さらに、日本の世論の動向を見極めるという前提条件つきながら、日中平和友好条約締結三十周年の「歴史的な節目の二〇〇八年に、皇太子殿下をお迎えしたい」と提案する手はずだという。

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