5月22日のクーデターから2カ月半ほどが過ぎたタイでは、8月7日に国家立法議会(暫定議会)が発足した。総数200議席の内訳は、現役軍人(73人)を中心に、元国有企業幹部(27人)、退役軍人(25人)、元議員(22人)、国有企業幹部(16人)など。勅撰議員とはいうが、実質的に彼らを選定したのはクーデターによって国政の全権を掌握した国家平和維持評議会(NCPO)である。

 であればこそ、各議員の出身母体の構成比から判断して、国家立法議会は反タクシン運動を展開した民主派を糾合したというより、やはり旧来からの権力を構成してきたABCM複合体(Aristocrat=王室、Bureaucrat=官僚、Capitalist=財閥、Military=国軍)の政治的利害調整の場ということ。やはり今次クーデターの目的からして、国家立法議会にタクシン支持派の民意が反映される可能性は限りなくゼロに近いと考えるべきだ。

 

“タンシュエ化”するNCPO議長

 伝えられるところでは、8月中には暫定ながら首相が選出され、暫定政権が発足し、来年度予算審議、新憲法制定を経て、来年後半に実施予定の総選挙へ向けて環境整備がなされた後に民政移管というのが今後の政治日程として考えられる。

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