小渕政権の“経済失政”のツケが、八年越しで露見しようとしている。中小企業の資金繰りを支える信用保証制度が九千億円もの財源不足に陥っているのだ。制度を維持するために巨額の税金投入と制度の“改悪”が目論まれている。 信用保証制度は、信用力が乏しい中小企業が金融機関から融資を受けられるよう、国が融資の返済を保証する制度。もし企業が倒産するなど債務不履行となった場合、肩代わりして返済する(代位弁済)。 制度の担い手は、全国五十二カ所の信用保証協会だ。代位弁済の原資は中小企業金融公庫(旧中小企業総合事業団)が所管する中小企業信用保険準備基金であり、国費で充当されるこの基金が、いま、“二重の資金不足”に陥っているのである。 まず、八年前までさかのぼらなければならない。金融危機に直面した銀行の中小企業に対する貸し渋りと貸し剥しは激化するばかりだった。一九九八年七月、参院選で惨敗を喫した橋本内閣に代わり発足した小渕政権は「中小企業金融安定化特別保証制度(特別保証)」を打ち出す。これがひとつめの資金不足の原因だ。 当時の野中広務官房長官と与謝野馨通産相が連携し、八月に「中小企業等貸し渋り対策大綱」が閣議決定され、十月には特別保証制度がスタートする。貸し渋り対策であるがゆえに審査は緩く、無担保で最高五千万円まで保証が受けられることから中小・零細企業の経営者が殺到。その“仲介役”としてカネと票を手にした国会議員は少なくなかった。

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