知られざる石油掘削人工島の暮らし

執筆者:シルヴィオ・ピエールサンティ2006年9月号

世界の石油の三分の一を賄う海底油田――いまや原油高で景気はいいが、そこでの仕事と生活は過酷だ。[ローマ発]一日三百万トン、いまや世界の石油の三分の一は海底油田から掘り出されている。それを可能にしているのが海底油田の上に建てられる巨大な掘削施設(プラットフォーム)で、世界の海にはこうした「石油掘削島」が七千も存在する。 専門の造船所には、米エクソンモービルや英BP、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、米シェブロン・テキサコ、仏トタル、イタリアのENIといった世界の石油メジャーから何百もの新たな注文が舞い込んでおり、海上プラットフォームは今後も増殖する勢いだ。 アメリカのメキシコ湾には、およそ四千もの石油掘削島が集中している。次に多いのが東南アジア諸国沿岸で、この海域に千以上が存在する。北海とカスピ海、オーストラリア沖、ブラジル沖、アフリカ沿岸、そしてペルシア湾にも、それぞれ数百のプラットフォームがある。 原油価格が高騰するなか、多大なコストをかけて海底油田を開発しても十分利益を得られる状況が生まれている。陸地であればおよそ二百万ドルから四百万ドルで油井開発は可能だが、海底となると一気に最低でも五千万ドルに跳ね上がる。プラットフォームの建造コストも高い。たとえば、シェルが米ルイジアナ州の沖百キロに作った石油・天然ガス掘削施設ウルサの建設費は、十四億五千万ドル(約千六百億円)だった。

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