ロシア天然資源省傘下の政府機関である天然資源監督局が九月初め、サハリン沖での石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の事業認可の無効を求める訴えを起こしたが、プーチン政権の最終目的は工事が順調に進むサハリン2の「乗っ取り」だとの見方が出てきた。 サハリン2は国際石油資本(メジャー)の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(出資比率五五%)、三井物産(二五%)、三菱商事(二〇%)が出資。日本の主要電力会社が液化天然ガス(LNG)輸入契約を結び、二年後の供給開始に向け、最終段階に入った。 ここでプーチン政権が法的措置を取った背景には、サハリン2に政府系ガス独占企業ガスプロムを参画させたいとの思惑があるようだ。石油業界筋も、「サハリン2はエリツィン時代の生産分与方式に沿い、外国勢が独占しているが、この方式はプーチン政権のエネルギー国家支配戦略に沿わない。ガスプロムに過半数の権益を確保させることを狙っている」と語る。 日本政府が一九七〇年代から一千億円以上を投資したサハリン1はガスの売却先が見つからず、推進母体の米エクソン・モービルは中国へのガス売却を交渉中だ。日本国民の莫大な税金を使って中国に“漁夫の利”を与えかねない体たらくだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。