航空自衛隊の野望が現実のものになりそうだ。野望とは、東京に飛行場のある基地を持つこと。加えて横田基地を米軍専用から空自専用の基地にすることだ。 防衛庁は来年度予算の概算要求に、空自司令部に当たる航空総隊の横田基地への移転費用として司令部棟の建設費百五十一億円を計上し、飛行場のある基地をもつことが確実になった。 現在司令部を置く府中基地にはヘリコプターの発着場しかなく、「司令部なのに戦闘機や輸送機が降りられないのは欠陥基地だ」と自嘲する声があった。だが、日米合意した米軍再編最終報告に従い、横田移転が早くも動きだす。来年度から航空総隊司令部棟の建設を開始し、二〇一〇年度には移転する。 移転後、横田基地には空自と米空軍による共同統合運用調整所が作られ、北朝鮮の弾道ミサイルに備えたミサイル防衛のための日米共同司令部となる予定だ。だが、ある空自幹部は「司令部移転にとどまらず、横田基地をそっくり乗っ取れるかも知れない」という。 この幹部は「米軍再編で米側は横田にある第五空軍司令部のグアム移転を持ち出した。日本側の反対で撤回したが、もはや米側は第五空軍の機能を強化する考えはない」と、米軍再編交渉で米側がみせた横田軽視の姿勢を明かす。

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