一九八二年、イスラエルは圧倒的な軍事力でレバノンに侵攻、強引にパレスチナ解放機構(PLO)を首都ベイルートから追い出した。 だが、その直後結成されたイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラにとって、イスラエルとの戦いはまさに始まったばかりだった。それ以後、イランのテコ入れを受けて「弾丸と投票箱」の二正面戦略を進め、今度の戦闘で攻守所を変えたのである。 まず「弾丸」だ。二十四年間で、ヒズボラはイスラエルが驚くほどの軍事力を獲得した。 七月十二日、ヒズボラによるイスラエル兵二人の拉致をきっかけに起きた戦闘は、予想以上に強いヒズボラの抵抗で、イスラエル軍の作戦を狂わせた。 イスラエル側を震撼させたのは、同十四日、レバノン沖約十六キロの海上を哨戒中のイスラエル海軍ミサイル搭載コルベット艦に、ヒズボラが陸上から発射した対艦巡航ミサイルが命中したことだ。 その直後、イスラエル情報当局はイラン革命防衛隊の軍事顧問の関与を確認した、と英ジェーンズ・インテリジェンス・ダイジェスト誌は伝えている。 この対艦巡航ミサイルはイラン製のC802。イランが中国から調達、開発した。ペルシャ湾の出入口であるホルムズ海峡の閉鎖時に使用するのではないか、と米軍情報当局が恐れている巡航ミサイルだ。

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