前回(9月21日付「ISIS に向き合う米国:オバマ演説と総合戦略」http://www.fsight.jp/29403)に引き続き、9月11日という米国にとって特別な日にサザンメソジスト大学タワーセンター政治学研究所で行われたシンポジウム「アル・カイダ後の世界:米国総合戦略の将来展望」(After al Qaeda: The Future of American Grand Strategy)をよりどころにし、米国総合戦略を考えてみる。前回はバリー・ポーゼン氏(マサチューセッツ工科大学教授)へのインタビューに基づいて、「イラクとシリアのイスラム国」(Islamic State of Iraq and Syria: ISIS)に米国がどう対応していくのかを論じた。

 春名幹男氏が9月18日付の論考(「『トップスパイ会議』も生かせず:対『イスラム国』何度も逸機したオバマ」http://www.fsight.jp/29332)で指摘しているが、オバマ政権は当初ISIS の台頭を甘く見ていた節がある。しかし、ここに来て米国がISIS に対峙せざるを得なくなったという現実は、米国の他の地域での戦略、とりわけアジア太平洋での戦略にも影響を与えると考えられる。今回は、中東、アジアを含めた米国安全保障の総合戦略の中で、その軸足(pivot)をどこに置くのか、中東なのか、アジアなのかという問題を考えてみたい。

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