これまでインド株投信の販売が目立つ程度だった日本の証券会社のインド事業が変化し始めている。七月以降、大和証券SMBC、三菱UFJ証券、日興コーディアルグループが、企業のM&A(合併・買収)関連事業に取り組む方針を打ち出した。 インドにはIT関連のサービス業のみならず、自動車や電機・電子、医薬、化学など製造業分野でも独自の力を持つ企業が少なくない。ITサービス大手のウィプロなど欧州企業を買収するインド勢も出てきたし、一方で海外企業によるインド企業のM&Aは急増している。M&Aの仲介など投資銀行業務に注力している日本の大手証券としても、日本企業がらみのM&A案件は手がけたいところだ。 旧英領時代の経済システムを基礎とするインドは、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の中でもM&Aが行ないやすいとされる。中国も二〇〇一年のWTO(世界貿易機関)加盟以来、法規や制度を整備しているが、企業に対する国家の関与など“資本主義の変則度”は、まだインドより高い。 大和証券SMBCはムンバイ(旧ボンベイ)に、日興はニューデリーに、すでに拠点を構え、この秋には三菱UFJ証券も銀行系証券として初めてインドに駐在員事務所を開設する(ムンバイ、ニューデリー、チェンナイ)。だが、日本勢だけでインド企業相手のM&A案件を見出し、まとめあげることは難しい。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。