小泉純一郎首相の後任を選ぶ自民党総裁選が九月八日、告示された。立候補したのは届け出順に安倍晋三官房長官、谷垣禎一財務相、麻生太郎外相の三氏。ポスト小泉候補として昨年来、取り沙汰されてきた「麻垣康三」の中で最も現政権に批判的だった「康」(福田康夫元官房長官)が消え、最後まで首相に忠誠を尽くした現職閣僚同士で跡目を争う構図となった。 争う、といっても、安倍氏が圧倒的に優勢なワンサイドゲーム。関心が高まるはずもない。テレビ各局の総裁選関連番組の視聴率は、小泉氏が本命の故・橋本龍太郎元首相を向こうに回し奇跡の勝利を収めた二〇〇一年四月に比べ、軒並み大幅にダウンしていた。安倍陣営内の鍔迫り合い 三候補の勢いの差は、出陣式に集まった国会議員数に如実に表れた。 安倍陣営は本人出席百九十五人、代理出席五十人の計二百四十五人。総裁選用に借り受けた党本部の大会議室では収容しきれないため、政治資金パーティーなどに使う赤坂プリンスホテル五色の間を借りて出陣式を行なったほどだ。これに対し谷垣陣営は本人二十一人、代理八人の計二十九人、麻生陣営は本人三十人、代理七人の計三十七人。「一強二弱」の落差はまさに桁違いだった。

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