産経前ソウル支局長起訴:検察と裁判所の戦いへ

執筆者:黒田勝弘2014年10月11日

 ウェブサイトに書いた記事が朴槿恵大統領に対する名誉毀損にあたるとして、韓国の検察当局が産経新聞前ソウル支局長を起訴した(10月8日)。今後その当否が裁判で争われる。韓国で軍人政権時代が終わり、言論の自由が保障される民主化時代がスタートした1990年代以降、外国人記者が法廷に立たされるのはこれが2件目である。

 1件目は1993年にフジテレビ・ソウル支局長が軍事機密保護法違反で逮捕、起訴されているが、いずれも本来は保守・親韓的だったフジ・サンケイ・グループが韓国当局から非難・追及され、法的処罰の対象にされるというのは皮肉である。日韓関係をめぐる時代の変化を物語るものだ。

 

21年前のフジテレビ事件

 今回を含めこの2件には、いずれもその時の韓国の政治情勢が色濃く反映しており、時の政権の政治的思惑によって日本メディアがスケープゴートとして“血祭り”に上げられたという共通点がある。

 21年前のフジテレビ事件は、軍事専門家だった当時の支局長が、知人の韓国軍将校から得た対外秘情報を日本の軍事専門雑誌で引用し、その情報を日本大使館武官に提供していたことが罪に問われた。逮捕、起訴で1審有罪の実刑だったが2審で執行猶予がつき釈放、帰国となった。この間、半年以上も身柄を拘束されている。

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