九月二十八日に投票が行なわれたアフリカ南部ザンビアの大統領選挙で、現職のムワナワサ大統領の再選が決まったが、選挙期間中、対立するサタ候補が当選しないよう中国が圧力をかけていた。 サタ候補は、中国を新帝国主義者と呼び、その「アフリカ経済侵略」がザンビアが抱える問題の元凶であると非難していた。これに対し中国の李保東駐ザンビア大使も、もしサタ候補が当選してザンビアが台湾を承認するなら、国交を断絶するかもしれないと警告していた。 中国のアフリカへの投資はこの十年で四倍に膨らみ、いまではアメリカと肩をならべる投資国となっている。中国の最大の輸入品は原油だが、銅の大産地ザンビアでは中国企業が銅鉱山に三億ドル以上の投資を行なっている。海岸線をもたないザンビアに対し、中国は一九七〇年代、隣国タンザニアの首都ダルエスサラームの港につながる二千キロ近い鉄道を建設したりもしていた。 ところが元閣僚のサタ候補は、中国がやっているのは「投資ではなく、自分のために暴利をむさぼっているだけだ」とし、中国の進出は人口の七三%が貧困にあえぐザンビアにとって何の役にも立っていないと攻撃していた。 ムワナワサ大統領の再選で中国にとって当面の危機は去ったものの、アフリカ世論の動向は油断ができない状況になりそうだ。

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