和歌山県発注の四件のトンネル工事をめぐる談合事件で談合を主導したとされる大手ゼネコンの大林組。業界が「脱談合」を進めるなか、大林組は「西日本の公共工事や再開発案件では依然として入札を仕切っていた」(東京のゼネコン大手)とされる。 大林組が絡む入札で疑惑の噂が絶えないのが、大阪府下の最後の一等地「梅田北ヤード」の再開発案件だ。北ヤードはJR梅田貨物駅の移転跡地である二十四ヘクタールを八つに分けて再開発するプロジェクトだが、このうち、「先行開発区域」として七ヘクタールの事業者の選考が進められた。落札したのは大林組と竹中工務店を施工者に、阪急ホールディングスなどが組んだ企業連合だった。しかし、この入札をめぐり他のゼネコンから「落札までの過程が極めて不透明」との指摘が相次いだ。 事業者の選定は学識経験者などで構成する審査会の意見をもとに進められてきたが、「国際競争入札にもかかわらず、落札額さえ明らかにされない。地元企業にカネが落ちるよう便宜を図ったのでは」(大手デベロッパー幹部)との声が絶えない。 大林組はかつて「関西談合のドン」と呼ばれていた平島栄氏を生んだゼネコン。同氏はかつて、業界から談合の仕切り役を引退するよう勧告されたのに反発、関西の談合の実態を公正取引委員会などに告発した経緯をもつ。ある大手ゼネコンの幹部は「平島氏の引退後も、跡を継ぐ形で大林組が談合を仕切っていた」と証言する。

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