電力自由化が早くも曲がり角にさしかかっている。二〇〇〇年から始まった電力自由化で参入した特定規模電気事業者(PPS=Power Producer and Supplier)は二十三社に上ったが、PPS第六位のジーティーエフ研究所は営業を停止。スーパーや工場に自家発電機を設置するオンサイト・システム(分散型自家用発電装置)大手のエネサーブ(東証一部上場)も撤退を表明、といった具合だ。 ジーティーエフ研究所は三井物産、日揮、石川島播磨重工業が出資し、〇三年にPPS事業に参入。茨城県鹿嶋市の発電所で灯油を使って発電し、経済産業省、環境省、総務省といった官庁や百社を超える民間企業に供給していたが、原油価格高騰で行き詰まってしまった。「ジーティーエフ研究所は清算しますが、新たに三井物産が一〇〇%出資するGTFグリーンパワーを設立し、事業は継承します。やはり、油価の高騰が痛かった。目下、サトウキビを原料にしたバイオエタノールなど灯油に替わる燃料を使えないか検討しています」(三井物産) 顧客への電力供給を突然、止めるわけにもいかず、苦悩している様が見て取れる。 一方、大型スーパーやデパート、工場向けに七千八百台もの自家発電機を設置し、電気を供給しているエネサーブも同様だ。同社の深尾勲社長は工業高校卒業後、関西電力に就職したが、電気設備の保守点検が電力会社以外でも可能になったのを機に保守点検を請け負う会社を設立して独立。電力自由化では、いち早くオンサイト発電事業に進出した人物だ。

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